多様化する顧客のニーズに合わせ企業のサービス展開が日々変化するなか、顧客に最適なサービスをアドバイスできるオペレーターはCX向上や売上拡大に貢献します。当社が毎年実施している社内イベント「応対コンクール」では、今求められる応対品質をテーマに開催されました。
応対コンクールとは
参加するオペレーター同士が顧客応対力を高め合うイベント。コンタクトセンターに必要な応対とは何かを考え、品質向上のために毎年開催。参加者は予め定められた架空のコンタクトセンターのオペレーターとして、顧客応対を実演します。
顧客の悩みに共感し、最適解に導く力を問う課題設計
カスタマーサービスのデジタル化によって顧客の自己解決が進む一方、オペレーターへの問合せを選択する顧客の多くは、ヒトにしかできない対応を求めています。顧客の悩みに共感し、会話を通じて最適解を導き出すことはヒトだからできる顧客対応であり、CX向上が求められるカスタマーサービスにおいて重要な役割を担います。このような背景から本イベントの課題設計では、前回の応対コンクールの課題である「顧客に寄り添った対応力」に加え、顧客に最適なサービスを提案するコンサルティング力を求める内容としました。
オペレーター役の設定概要
宅食サービスを運営する企業のカスタマーサービスにおいて、サービスの申し込み・問合せに対応するコンタクトセンターのオペレーター。同社アプリにアクセスした顧客の閲覧履歴が参照可能。
センターミッションは「お客様それぞれのライフスタイルに寄り添い、より健康で幸せな食生活をサポート」
顧客役の設定概要
背景 | 体調管理に気を遣う高齢の両親のために、同社の冷凍宅配弁当サービスを契約している40代女性。新たに自分の家族用にサービスの申し込みを検討している。 |
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内情 | 子供の習い事の送り迎えや仕事の残業で夕食を準備する時間が取れない。 栄養面を考慮したできたての食事を提供したいが、料理が得意ではなくレパートリーが少ない。 |
ニーズ | 同社のアプリを通じ、ミールキットや野菜の詰め合わせBOXの配送サービスを閲覧。 自分に適したサービスを知りたい。 |
現在のライフスタイルを重視し、不得意ながらも料理のレパートリーを増やしたい顧客に「問合せて良かった」と感じてもらえるよう、どのように最適なサービスを提案していくのかが審査のポイントになりました。
「問合せて良かった」と感じられる会話術
今回の課題で顧客に「問合せて良かった」と感じてもらうためには、顧客のサービスに対する不安解消と期待感の醸成がポイントとなり、その実現にはスムーズな顧客の現状把握が必要です。例えば、ある程度サービスを把握している顧客に、イチからサービスを紹介し、関心事を聴取することは顧客のニーズに適した応対ではありません。適切な提案のためには、行動履歴などで現状を把握し、顧客がまだ認識していないサービスの特徴や有益な情報の提示によって新たな気づきとメリットを強く感じさせることが必要です。入賞者の応対においても、事前にアプリの閲覧履歴から既に認識、または興味のあるサービスを把握したうえで「栄養バランスを考えた食事を提供するのは難しいですよね」など、会話を通じて共感を得ることで言語化されていない「手軽さ」「栄養バランスへの配慮」といった顧客の内情を深掘りしました。加えて、あまり認識していなかった「栄養管理士が計算した栄養バランスの整った食事を気軽に作れるサービス」の紹介によって、多忙な日常を送る顧客に配慮しながら、単に食事提供の負担を軽減するだけでなく生活を豊かにできることを提案しました。このようなコミュニケーションが実現できるのは、サービスの利用によって顧客がどのような生活の変化を得られるかをオペレーターが明確にイメージできているからこそです。
品質向上の底上げにデジタル活用も有効
今回の応対コンクールでは、当社がコンタクトセンターの高付加価値化に向け本格導入を開始しているAI音声認識ソリューション「AmiVoice® Communication Suite」 を活用した応対評価が実施されました。AmiVoiceと当社のコンタクトセンター運営のノウハウを掛け合わせることで、オープニングトークが適切に行われているかなどの定型的な評価を平等にし、審査員は「傾聴」や「寄り添い」といったヒトならではの応対への評価に注力できました。このような評価の仕組みは実業務における応対品質の向上や評価の効率化に有効です。上記に加え、オペレーターへのフィードバック時にはテキスト化された応対内容を利用することで問題点を可視化でき、オペレーターの理解も深まります。このように正確性や公平性を求める作業はデジタルソリューションが得意とする分野であり、この活用によって品質の底上げにもつながります。
顧客一人ひとりに寄り添い、最適な提案ができるオペレーターはCX向上への鍵となりますが、オペレーター個人が向上に努めるだけでなく、コンタクトセンター全体で応対品質向上の取り組みが必要です。今後のコンタクトセンターでは、ヒトならではの顧客の心情に配慮した応対と提案が求められるとともに、これを実現するための手段として、いかにデジタルを活用するかが重要となっていくでしょう。
応対コンクールの様子(ダイジェスト)は下記よりご覧いただけます。
応対コンクール本編につきましては、期間限定で配信しております